ワンポイントリハビリ
排便と姿勢の関係 ~使いやすいポータブルトイレとは~
リハビリテーション科 作業療法士 小笠原 由希絵
排便は座った姿勢で行うことが理想的であるといわれています。寝たままの状態ではなかなか排便できないことも多く、トイレまたはポータブルトイレでの排泄を習慣づけたいものです。その理由として、排便には下記の3つの要素が重要であるためです。
①腸の収縮力 ②腹圧 ③重力
この3つの力は、座った姿勢で最もよく働くとされています。寝たままの状態でも、直腸の収縮力は座った状態と同じように働きますが、重力はまったく使えず、腹圧も半分しか働きません。その結果、腸に便が残りやすくなってしまいます。特に、高齢になると筋力が弱ってくるので、さらに排便がしにくくなります。
座って排便をすることが望ましいのですが、トイレまで歩くことが難しい場合等は、ベッド脇でも使用できるポータブルトイレという方法もあります。ポータブルトイレには構造、材質、安定性など様々なものがありますので、選ぶ際のポイントをいくつかご紹介したいと思います。
■ポータブルトイレの選び方
背もたれ
→背もたれがあった方が、安心して座っていられます。背もたれの材質は、寄りかかっても背骨が痛くならないように、クッション性の高いものにすると良いです。
肘当て
→通常の洋式トイレでは、座った際にうまくバランスが取れなくても、肘当てがついていればそこにつかまることで安心して座ることができます。さらに、肘当ては取り外しができるもの、高さが調節できるタイプのものが良いです。肘当てを調整することで、脚の力が弱く立ち上がりが難しい場合でも、介助がしやすくなります。
便座シートの材質
→長時間座っていてもお尻に負担のかからない材質であると良いです。例として、ウレタンフォーム入りであれば座り心地が快適です。排泄に時間がかかる場合もクッション性の高いものであれば、安心して座っていられます。
脚の高さ
→両足底がしっかりと床面に接地することで、安心して座ることができます。また、椅子の下に足を手前に引くことができるスペースがあると、体重を前にかけやすくなり、お尻が持ち上がりやすくなるので、ズボンなどの上げ下げの介助がしやすくなります。