臓器移植普及推進月間によせて
東3病棟看護師長 院内移植コーディネーター 小丸 康子
皆さんは、臓器移植について考えたり、話し合ったりしたことがありますか?臓器移植は、病気や事故によって臓器(心臓や肝臓など)が機能しなくなった場合に、人の健康な臓器を移植して、機能を回復させる医療です。健康な家族からの肺・肝臓・腎臓の部分提供による移植を生体移植、亡くなった方からの臓器提供による移植を死体移植といいます。死体移植には、脳死の人の臓器提供によるものと、心臓が停止して亡くなった人の腎臓や角膜の提供によるものがあります。
多くの国々では、脳死は人の死とされていて、善意による臓器提供が数多く行われています。日本では、残念ながら死後の提供が少なく、生体移植が多い傾向にあります。今、日本で移植による健康回復に望みを持ち、(社)日本臓器移植ネットワークに登録している方は約1万3千人もいます。
臓器移植には本人や家族の意思が必要になります。以前は、臓器提供意思表示カード(ドナーカード)にきちんと記入されていないと、移植は出来ませんでした。しかし、2010年1月17日に法律が改正され、親族への優先提供の意思が表示できるようになりました。さらに、2010年7月17日より、本人の臓器提供の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば臓器提供ができるようになりました。これにより15歳未満の方からの脳死での提供も可能になりました。生きている私たちには、いつか必ず死が訪れます。その時に、臓器を提供することによって、多くの患者さんが移植を受け、健康を回復することができます。そのためにも、家族とよく話し合い、自分の臓器提供に関する意思を表示しておきましょう。臓器を提供しない意思も表示できます。意思表示は臓器提供意思表示カードの他、被保険者証・運転免許証にも意思表示欄があります。さらに携帯電話やパソコンからも意思表示が出来ます。
10月は、臓器移植普及推進月間です。この機会に、いのちの贈り物についてご家族で話し合い、意思を確認してみてはいかがでしょうか。