めまいと頭の病気について
脳神経外科科長 冨井 雅人
めまいが起こると、一般的には頭の中に何か重大なことが起こったに違いないと思って、脳神経外科に駆け込んでくるのが一般的かと思われます。しかし、実際にはそのような方で頭の病気が原因であることは1割もありません。ほとんどはメニエール病や良性発作性頭位めまい症などの耳鼻科的な疾患が原因です。
では、どう見分ければ良いのでしょうか?めまいの症状は大きく分けて3つあります。一つ目は、ぐるぐるまわる回転性のめまいで、急に発症し、吐き気・嘔吐、耳が聞こえづらくなる(難聴)などの症状を伴うことがあり、耳が原因のめまいであることが多い症状の起こり方です。二つ目は、フワフワふらつくめまいで、急にあるいは徐々に症状が現れ、フワフワ揺れる感じと、頭痛やしびれ、運動麻痺などの神経に関係する症状を伴うことがあります。これが頭に異常がある場合のめまいの特徴で、すぐに病院を受診するか救急車を呼んだ方が良いと思われます。最後の三つ目は、立ちくらみのようなクラッとするめまいで、立ち上がるとクラッとしたり、目の前が暗くなったりする症状です。これは、血圧の変動に関係する全身性の病気の一部として現れるめまいです。
では、実際にめまいが起こったときは、どうすればいいのでしょうか?
まず、明る過ぎない静かな所で横になり、楽な姿勢をとってください。「激しい頭痛」「手足に力が入らない」「舌がもつれて話しづらい」などの症状がなければ、めまいが軽くなるまで安静を保ちましょう。ただし、これらの症状がみられる場合は、できるだけ早く救急病院を受診してください。
また栄養が不足すると血行不良となり、めまいが起こりやすくなります。栄養バランスを考え、1日3食を規則正しくとりましょう。お酒は脳の機能を低下させるので、めまい(ふらつき)が悪化する可能性があります。また、お酒の飲み過ぎは生活リズムを乱す恐れがあります。コーヒーはリラックスする程度に飲むのであれば問題ありませんが、飲み過ぎるとコーヒーに含まれるカフェインの作用によって興奮したり、夜中にトイレに起きたりするようになって眠れなくなることがあります。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血液の循環を悪くします。めまいが起こりやすくなりますので、タバコは控えめに、禁煙をお勧めします。